エアスプレー塗装は外壁塗装などの現場塗装では、環境への配慮もあって、あまり使用されることは少ない。
その理由は塗料の飛散が多いことや風の影響を受けやすいにあります。
高級仕上がりを求められる部位の塗装、形状が他の塗装方法では塗りにくい場合などに使用されます。
- 圧縮空気を利用して塗料を霧状にして被塗物 ( 塗装しようとするもの ) に吹き付ける塗装方法。
- 大正時代にアメリカから導入されて以来、塗料や被塗物に合わせたスプレーガンが国内でも開発され、特に工業塗装分野では自動化され、広く使用されている。
- 塗装仕上がりはスプレーガンの種類、塗料の種類や調整の方法、吹き付け圧力、吹き付け距離などによって左右される。
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長所
- 作業能率が高い。
- 平滑で美しい塗装面の仕上がりが得られる。
- 設備費も比較的安価で、手軽に利用できる。
短所
- オーバースプレーによる塗料損失が大きい。
- 適正な霧状にするため、塗料粘度を低くする必要があり、他の塗装方法より一回当たりの塗装塗膜は薄くなる。
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一般的な塗料は、エアスプレー塗装が可能であり、スプレーガンの選定と適正な塗料の粘度調整が必要である。
- シンナーで希釈して調整を行う。
- 現場での粘度調整は、簡易粘度カップを使用して行われ、18~30秒程度が一般的に使用される。
- 塗料は良く撹拌し、ろ過して使用しないとスプレーガンのノズルの詰まりの原因になったり、仕上がり面の塗り肌にも影響を及ぼす。
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容量100ccのカップの底に穴を開けたもので、塗料をカップ一杯に入れ、下部の穴から塗料が流れ落ちる秒数を計り、粘度をあらわす計測器具。
穴の大きさが4mmのものが多く使用され、それを4号フォードカップという。
現場では4号フォードカップに準じた簡易粘度カップが使用される。
粘度を表示する場合、粘度は気温の影響も受けるのでカップの種類、気温、秒数で表わされる。
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- 圧力を高くすると空気の量は増え、塗料の霧は細かくなる。
高すぎると塗料の飛散が多く、塗料の損失が増える。
- 圧力が低いと塗料の霧は荒くなり、ゆず肌、ピンホールなど塗膜欠陥が出やすい。
- スプレーガンによって、適正圧力は決まっている。スプレーガンの引き金を引き、空気のみ噴射させて、スプレーガン手元の圧力調整つまみで調整する。
- コンプレッサーの吐出圧は、エアホースの圧力降下を考慮し、少し高めにしておくことが必要。
- 塗装中、空気圧力が下がるのは、スプレーガンの空気使用量に対してコンプレッサーの空気吐出量が不足しているからで、十分な出力のものを使用する。
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- スプレーガンの先端から被塗物までの距離を「吹き付け距離」という。
- 吹き付け距離が近いとパターン巾は狭くなり、塗膜は厚くなる。
近すぎると塗膜に流れが生じてしまう。
- 吹き付け距離が遠くなるにつれパターン巾は広くなり、塗膜は薄くなると同時に塗料損失も大きくなる。
遠すぎると砂を吹きつけたみたいになり、きれいな塗膜が得られない。
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- 直線的に往復運動でスプレーガンを運ぶ。塗り重ね巾は、有効パターンの1/4~1/2位で塗り広げるのが一般的。
- らせん状に回転させながら塗り広げてゆく方法もある。
その場合パターンは円形 ( 坊主 ) に調整して行われる。
- スプレーガンを早く動かせば、塗膜は薄くなり、遅く動かすと塗膜は厚くなり、遅すぎると流れてしまう。
- スプレーガンと被塗物の距離は一定の距離を保ち、並行に運ぶようにする。
円弧を描いたすると均一な塗膜が得られない。
- 被塗物に対して常に直角となるようにする。
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塗料の供給方式によるスプレーガンの分類
- 吸い上げ方式
- 塗料カップの容量も1リットルまでのものがあり、大型スプレーガンに適する被塗物の塗装には塗料の供給に追われることなく塗装できるので向いている。
- 重力式
- 少量の塗装や再三、色替えを行ったり、多用な塗装に向いている。
- 圧送式
- 別に塗料を用意し、加圧してホースでガンに供給する方式。
ガンに塗料カップがないので上下、左右などあらゆる方向からの吹きつけが可能。
多色の連続塗装に向いている。
圧送式に使用されるものとして、圧送タンクがある。
圧縮空気を使用して加圧するもので塗料圧送タンク、小型加圧コンテナなどがある。
塗料と空気の混合方式による分類
- 外部混合式スプレーガン
- 空気キャップの外側で塗料と空気を混合するタイプ。
流動性のよい一般の塗料に使用される。
- 内部混合式スプレーガン
- 空気キャップの内側で塗料と空気を混合するタイプ。
特殊塗料、高粘度塗料などに用いられる。
外壁用吹き付材で使用されるリシンガン、タイルガンなどはこのタイプである。
特殊スプレーガン
用途に応じた専用のスプレーガンがある。
特殊塗料や塗装効果を得るために使用される。
片角ガン、長首ガン、乱糸ガンなどがある。
塗料ノズル口径
- 塗料ノズル口径の大きさと塗料の吐出量は比例する。
下塗りなどは口径の大きいものを使用し、仕上げには口径の小さいものを選定するようにする。
- 塗料の吐出量は同じノズル口径でも塗料の粘度に大きく影響を受けるので注意が必要。
- 低粘度の塗料なら下塗でも口径が中でもよい。
十分な経験が必要なところです。
自信のない場合は、試し吹きをした方がよい。
- 一般的なスプレーガンでは1~3mm程度の口径が多く使用される。
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